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人間型ロボット向けの「作業用保護ウェア」を開発
― 屋外での作業を可能に ―
2002.12.05

東急建設株式会社(東京都渋谷区 社長:落合和雄)は、経済産業省が実施している研究開発プロジェクト「人間協調・共存型ロボットシステムの研究開発」※T(Humanoid Robotics Project 以下「HRP」という)において、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託により、人間型ロボット向けの「作業用保護ウェア」の研究開発を行い、このほど屋外で実際にロボットに着用させての実証実験を開始しました。
◆ ポイント 「作業用保護ウェア」は、雨や埃などから人間型ロボットを保護し、屋外で作業をすることを可能にしたもので、屋内に限定されていた人間型ロボットの行動範囲を拡大しました。

【研究の背景】
今まで人間が行っていた重労働や人手の足りない状況において、人間の代わりに人間型ロボットを使用したいという要望は以前からありました。例えば、各種車両の操縦、建設作業、危険区域での作業、老人介護又は深夜警備などのあらゆる分野において、人間型ロボットが活躍できる可能性があります。このように要望が多様化してくると、各分野に適した仕様に人間型ロボットを改良して作り変えるのではなく、共通の人間型ロボットを使用することが望まれてきます。このような背景のもと、HRPは人間型ロボットの応用事例を研究することにより、「働く人間型ロボット」の実現可能性を世の中に示すことを目的としています。
現在実施されている5つの応用研究開発※Uの中で、当社は市販されている産業車両等を人間型ロボットで遠隔操作しながら屋外で代行運転させることを目標とする研究開発に取り組んでいます。この研究開発における一つのテーマとして、これまで屋内で活動してきた人間型ロボットに屋外で運転・作業させるための保護ツールの開発があります。
今回開発した「作業用保護ウェア」は、この研究テーマの成果の一部であり、共通の人間型ロボット使用のメリットを充分に発揮するものです。

【従来の技術】
今までの人間型ロボットは、温度や湿度が管理され、粉塵のほとんど発生しない環境の良い場所で用いられることがほとんどであったため、環境からの保護を目的としたウェアは存在しませんでした。
ロボット全体を見渡しても、粉塵の多い場所や温度・湿度などの条件が過酷な環境で使用される産業用ロボットには、粉塵や水に弱い部分のみをカバーで覆う方法や、耐候性を高めるために専用機として改造する方法が採用されていましたが、この方法では環境が変わるたびに改造が必要となり、共通の人間型ロボットを使用する場合のメリットが損なわれる恐れがあります。
また、愛玩用ロボットのウェアはすでに存在していますが、洋服的なファッション性が高いもので、ロボットの保護を目的としたものはありませんでした。


【研究開発技術の内容】
今回新たに開発した「作業用保護ウェア」は、人間型ロボットが着用する保護着であり、人間型ロボットの全身を覆い、粉塵及び外水の侵入をロボットの正常稼動環境の範囲に抑えたことを特徴とするものです。
ウェアの素材には通気性と伸縮性に優れたナイロン系の生地を使用しています。構成はフード、ベスト、スリーブ、パンツ、ブーツの5つのパーツからなり、接合部や構造等の工夫により放熱性、防滴性、防塵性を確保しています。特に人間と性質が異なる人間型ロボットの場合、放熱性能が重要な開発要素でした。また、人間型ロボット特有の動きに対応するために、東急グループでウェアを扱う企業のノウハウを生かした縫製と構造を採用したことにより、ロボットの可動範囲と動作性能に影響を及ぼさない機能性を確保しました。この他、実験ではウェア内部の結露や帯電性についても検証を行っています。
これらの工夫により、ウェアの内部は人間型ロボットにとっての正常稼動環境が保たれるため、人間型ロボットを使用環境に合わせて改造する必要がありません。
 
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◆ 作業用保護ウェアの主な特長
@ 降雨や粉塵のウェア内部への侵入を防いで動作性能を制限しない2重構造(ベスト、スリーブの接合部分)
A 制御装置類の熱を外部に放出し易く動作性のよい蛇腹・ストレッチ併用構造
B ロボット関節部への生地の挟み込みを防止するネット状裏地
C 人間型ロボット特有の背面のバックパック(バッテリー、制御装置等の内蔵)と上半身を同時に保護する一体構造
D 制御装置に悪影響を及ぼす静電気を発生しにくい生地の採用と足裏の2層構造
E 内部に湿気がこもりにくい通気性と防滴性のある生地の採用
F 直立して停止した人間型ロボットに装着可能な構造とすることにより容易に着脱が可能


【用 途】
作業用保護ウェアを着た人間型ロボットは、通常の屋外作業の他、以下のような状況下での活用が期待されています。
・ 人間が作業を行なうには苛酷な環境(極寒、高温、有毒ガス、粉塵、高圧気など)
・ 立ち入ることで人体に危険が伴う場所(化学物質による汚染、強酸・強アルカリ下/作業後汚染されたウェアを脱衣・除染することによる暴露防止など)
・ 災害の危険性の高い場所(災害復旧工事など)
【波及効果】
さらに、ウェアには次のような保護以外への波及効果が考えられ、人間型ロボットを人間と同等に扱うことがより一層可能となります。
・ 作業の種別を表すユニフォームとして複数のロボットに着用し、所属を分類。
・ 人間型ロボットの機械的な外見が隠れる。この結果人間型ロボットが作業を行う違和感を緩和する効果が期待でき、人間社会との共存性を高める。
・ 伝統芸能やエンターテイメントのコスチュームとして着用。

【今後の予定】
現在、HRPは人間型ロボットの屋外作業の例として、バックホウなどの建設機械の代行運転に関する研究※V の実証段階に入っています。 今後当社は、「作業用保護ウェア」を着用した人間型ロボットによる屋外でのバックホウ運転実験および同ウェアの機能実証試験を行い、建設作業での実用化を目指してまいります。
 
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<語句の説明>
※T 経済産業省が産業科学技術研究開発制度に基づき、東京大学の井上博允教授をリーダーに1998年から5年計画で実施中の研究開発プロジェクト。人間の作業・生活空間において、通信ネットワーク等を利用した遠隔操作によって人間と協調・共存して複雑な作業や変化のある地形を柔軟に異動することが可能な人間型ロボットの実現を目指すもので、前期2年間で研究の共通基盤となるプラットフォームを開発し、後期3年間はプラットフォームを用いた応用研究を行う。なお、財団法人製造科学技術センター(MSTC)がHRP全体の管理法人を担当している。

※U HRPの応用開発分野は、「プラント保守分野」「対人サービス分野」「産業車両代行運転分野」「ビル・ホール管理サービス分野」「屋外共同作業分野」の5分野で実施されている。

※V 正式名称は「産業車両等代行運転応用ロボットシステムの研究開発」で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けた応用研究テーマの一つ。当社と川崎重工業株式会社(東京都港区 社長:田崎雅元)、独立行政法人 産業技術総合研究所 知能システム研究部門(横井一仁主任研究員等)が共同で行っており、今回当社が開発した「作業用保護ウェア」は、この研究開発における成果の一部。


【本件に関する問い合わせ先】

 
東急建設株式会社
経営企画室 井上・下原
TEL.03-5466-5005
E-mail:webmaster@tokyu-cnst.co.jp
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