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集合住宅・オフィス向けの低コスト磁気シールド方法を3社で開発
窓などの設計自由度が高く、且つ十分なシールド性能を確保
2002.10.10

東急建設株式会社(東京都渋谷区 社長:落合和雄)、三井建設株式会社(東京都中央区 社長:清 昇)、株式会社フジタ(東京都渋谷区 社長:原田敬三)の3社は、このほど、窓などの開口部を自由に配置できる低コストの集合住宅・オフィス向け磁気シールド方法を共同開発しました。
この方法は、シールドの施工面積が従来方式に比べて半分程度で済むため低コストで施工できる上、約200種類もの実験の結果、十分なシールド性能を有していることが確認されており、家庭用のブラウン管テレビやパソコン用CRTディスプレイなどを磁気による画像障害から守る技術として、今後ますます需要が増えるものと期待されます。

【開発の背景】
現在のような情報化社会では、電磁波や磁気による電気・電子機器の障害リスクを予測・管理し、必要な対策を実施していくことが重要です。特に、機器を磁気の障害から保護するために部屋内の磁気を低減する対策は、リスク管理の上で必要不可欠になると予想されます。
通常、部屋を磁気シールドする場合には、部屋全体を隙間なく磁気シールド材で覆う方法が採られてきました。これは、一部の壁だけに磁気シールドを施工してもシールド材同士の連続性が途切れるので、部屋全体を施工した場合と比べて性能が極端に落ちると考えられていたからです。
必然的に窓などの開口部の設置は不可能であり、出入り口の扉も磁気シールド材を施した高価な専用のドアが必要となっていました。そのため従来の磁気シールドルームは、電子顕微鏡室や病院のMRI(磁気共鳴画像診断装置)室などのように磁気障害を受けやすい機器を専用で設置する特殊ルームとして使われることがほとんどでした。
しかし最近では、土地の有効利用を図りたいとするデベロッパーやオーナー側から、ブラウン管テレビなど一般の家庭で使われる機器についても磁気の影響を受けない環境を求める声が高まり、集合住宅やオフィスなど通常の建物に適用できる磁気シールド方法の開発が求められていました。
このような状況のもと、3社は技術開発成果の効率的な達成を図るため、平成12年度より共同研究を進め、このほど低コストで設計の自由度が高い新しい磁気シールド方法を確立しました。

【概 要】
今回3社で共同開発した磁気シールド方法は、設計・施工面での対策技術と対応すべき基準値を明らかにする予測技術からなっています。
□対策技術
シールドルームの構築方法は、従来のように部屋全体を隙間なく磁気シールド材で覆うのではなく、設置方向によってシールド性能が異なる方向性磁気シールド材と呼ばれる素材を用い、必要最小限の壁面のみを選択して施工します。
この方向性磁気シールド材は「高透磁率方向」と呼ばれる一定の方向特性を持っており、その方向に沿った磁力線に対して特に高いシールド性能を発揮します。そこで、磁気環境の外部条件を考慮して、高透磁率方向ができるだけ磁力線に沿った方向で連続するように方向性磁気シールド材を配置し、最大のシールド性能を引き出すことによって、一部の壁についてはシールド材をなくすことを可能にしたものです。
今回の共同開発では、磁気シールド施工を壁面全体の半分程度に抑えても、シールド対策前の磁気を半分以下に低減させ、必要かつ十分なシールド性能が得られることを、30パターン以上、200種類近くの実験から検証し、確認しています(写真右)。また開口部や隙間の影響など施工条件による違いについても調査するとともに、施工性の高いシート状の磁気シールド用特殊材料など、材質の違いによる効果についても実験で比較検討しており、磁気シールドの目的や建物の構造に応じた適切な材料の選択が可能となっています。
なお、研究開発の成果として、関連特許4件を3社で共同出願しています。
 




写真1

□予測技術
磁気シールド対策をする際には、必要なシールド性能を求めるために、実際に機器が設置される場所での磁気環境(磁気の方向や強さ、変動量など)を正しく知る必要があります。また、対策の対象となる機器についても、それぞれに磁気環境の許容レベルが異なるため、実験で確かめることが最も確実な方法です。それらのデータを総合的に判断して要求される磁気シールドレベルを設定し、シールド材の配置を決めます。
今回の共同研究では、磁気の発生源を三次元でモデル化して磁気の分布を詳細に分析する新しい技術を開発しています。これにより、発生源の形状など細かい要素を考慮した上での精度の高い予測が可能となりました。
一方、磁気の影響で障害を起こすことがある機器は、主に電子線を利用した電気・電子機器が多く、病院や研究施設、半導体工場などの特殊施設だけでなく、一般家庭にも数多く存在しています。例えばブラウン管テレビの場合は、磁気によって画像が揺れたり色むらが起きたりして見づらくなります。特に近年では大型画面テレビの需要が増加しており、従来よりも画像の乱れが目立つようになってきています。そのため、一般の住宅内でも磁気を低減させる対策が強く求められています。そこで共同研究では、最新式の大型ブラウン管テレビを使って実際に交流磁気を印加する実験を行っています(写真下)。
この実験で画像の揺れが目立つ磁気環境条件を詳細に検討した結果、ブラウン管テレビを設置する環境での磁気に関する自主基準値を10mG(ミリガウス)と設定しました。


【特 長】
今回の新しい磁気シールド方法では、最大で3面までは通常の壁として施工できるため、従来は磁気シールドルームにすることが困難だったスペースでも窓や出入り口について自由度の高い設計が可能となり、採光・通風といった本来の住環境やオフィス環境を犠牲にすることなく、十分な磁気低減効果が得られます。そのため、リニューアル工事にも適用しやすくなっています。
また、従来方法に比べてシールド施工面積が半分程度と少ないため、施工コストを抑えることが可能となり、材料費のプラス要素を考慮してもトータルコストの低減化が図れます。例えば方向性けいそ珪素鋼板を用いた場合では、通常の珪素鋼板に比べて材料費で3割程度高くなりますが、施工を含めたトータルでは3割程度のコスト削減が可能です。
 


写真2

【実 績】
現在、4件で適用調査中です。

【今後の展開】
本件に関する3社の共同研究はすでに終了していますが、各社はこの研究成果を共有し、土地やスペースの有効利用を図りたいとするデベロッパーや一般企業を対象とした営業活動に、積極的に活用していく考えです。


【本件に関する問い合わせ先】

 
東急建設株式会社
経営企画室 井上・下原
TEL.03-5466-5005
技術研究所 川瀬
TEL.042-763-9514
E-mail:webmaster@tokyu-cnst.co.jp
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