obi  

title
鉄道のボックスカルバート上を“屋上緑化”
ヒートアイランド現象緩和に土木構造物が一役
2002.09.11

東急建設梶i東京都渋谷区:社長 落合和雄)では、東京・大田区の東急線田園調布駅において、このほど、目黒線の軌道を覆うボックスカルバート上にビルやマンションなどの屋上緑化技術を活かした緑化施設を施工しました。今夏の猛暑にあっても生育状況は良好で、周囲の環境に配慮したシンプルなデザインとともに、近隣の方々から好評を得ています。


【緑化の経緯】

以前、このボックスカルバートの上はコンクリートが剥き出しの状態で、無機質な上に線路からの湧き水が溜まるなど、付近の住民や列車の乗客から見て美観的に優れているとは言えませんでした。また、地形的にも両側の擁壁が切り立っていて音が反響するため、列車騒音の点でも何らかの工夫が求められる場所でした。そこで、東京急行電鉄鰍ゥら依頼を受けた当社は、東急グリーンシステム鰍フ協力を得て、建築工事で実績のある屋上緑化技術を応用したプランを提案し、採用されたものです。

25_01
緑化前

【緑化の概要】

緑化の対象となるボックスカルバートは長細く、また長手方向に傾斜しているため、雨水あるいは散水した水も土壌から流れ出し、保水性が悪くなることが予測されました。そこで、ボックスカルバート上をコンクリートで升目模様に区切り、プランターと同様に水下で雨水などが流れ出さない工夫をしました。また、升目は視覚的効果を考えて市松模様とし、一つおきに消音バラストをいれて防音効果を高めています。
升目の緑化部分は既存の屋上緑化と同様、下から順に排水層、客土、マルチ材*、植物となっていますが、ここでは排水層および客土に竹炭を混合し、保水性を持たせています。竹炭は保水性の向上だけでなく、水の浄化あるいは植物の生育にも効果があることが知られています。
施工規模は、全体面積 1,417u、うち緑化面積 531u、工期は5月から6月中旬の1.5ヶ月でした。
*土の表面を覆うもので、雑草を生えにくくするとともに土埃の飛散防止や保水性の向上などに効果がある

【植栽とメンテナンス】

植栽については、車両運行に支障をきたさないよう背丈の低いものに限定する必要があり、また軌道に挟まれた特殊な場所であるため、保安上の問題からメンテナンスの回数をできるだけ少なくすることも条件となりました。そこで、被覆が早くて緑比率が大きく、しかもローメンテナンスの「ヘデラカナリエンシス」を升の中央に植え、その周囲にヘデラが升からはみ出さないように、やや背の高い「斑入りヤブラン」を植えています。
通常の屋上緑化とは異なり、両脇を走る東横線の列車風に常にさらされ、さらに高い擁壁に囲まれているため、植物にとって好ましい環境とはいえません。そこで今回植栽した草木については、温室で育成したもの(植栽するのは通常すべてこの方法)を、昨年11月から今年の5月まで、富士山麓の標高250mの農地を借りて、冬の過酷な条件下で半年間路地栽培を行いました。2月の最も寒い時には10cmの栽培ポットがほとんど凍りついた状態でしたが、この実験により、地面が凍結しても植物が生育することを確認しています。
また、メンテナンスには環境保護の観点から、竹炭を生成する時に出来る竹炭液を使っています。竹炭液の使用方法は、肥料として使う場合と病虫害の予防として使う場合があり、それぞれ竹炭液の希釈率を変えて使用しています。竹炭および竹炭液は神奈川県の足柄で製造したものですが、植物の育成と保護に高い効果があることから、生産者とタイアップし、今後は東京急行電鉄の駅周りの樹木、線路際の植物のメンテナンスに使用することを検討しています。

25_02
緑化施工後


【今後の展開】

今回のような土木構造物のコンクリート面を緑化する試みは、一般にはあまり例がありません。東急建設では、建築工事における屋上緑化技術の開発と平行して、土木分野でも環境保護と構造物の長寿命化の両面から、緑化に関する様々な研究を続けており、今後とも鉄道や道路、放水路などのボックスカルバートや、高架橋の上部といった地面と縁のない場所での緑化について、自治体や公共事業者などに積極的に提案していく考えです。


【本件に関する問い合わせ先】

 
東急建設株式会社
経営企画室広報担当 井上、下原
TEL.03-5466-5005
E-mail:webmaster@tokyu-cnst.co.jp

  obi