obi  

title

騒音・遮音デモンストレーションシステムを開発
−住宅の騒音・遮音性能を疑似体験−
2002.03.28

東急建設梶i東京都渋谷区)では、住宅供給者、建築設計者、住宅購入予定者等を対象に、住戸内の騒音や遮音性能を体感できるシステムを開発いたしました。
本システムは従来にない豊富なデータベースを利用し、外部からの伝搬騒音をはじめ、隣戸からの伝搬騒音・重量床衝撃音・軽量床衝撃音等を体感できるようにするもので、簡易なオペレーションによって遮音性能の違いを瞬時に聴き比べられることに特徴があります。また、本システムを遮音性能に優れた専用の可搬型体感ルームと併用することで、より高精度に、かつ、場所を選ばずにデモンストレーションを行うことが可能です。


【開発の経緯】

当社では、これまでに集合住宅やホテル客室、音楽ホールにおける遮音性能の予測・対策技術の向上、研究開発等に取り組み、その技術を多数の設計および施工物件に適用してまいりました。
通常、騒音の問題が起こりうる建物の計画・設計に際しては、その大きさや影響の範囲を予測し、建物の防音仕様を提案し決定することになりますが、その過程において、第三者に対して遮音性能や騒音の影響について説明を求められることがあります。しかし、数値や言葉によって「騒音の大きさ」をイメージさせることは非常に困難であり、説明者の経験に基づいた印象を曖昧に表現せざるを得ないのが現状です。
平成12年10月より「住宅性能表示制度」の運用が本格的に開始されたことに伴い、集合住宅の室内環境に対する社会的関心は今まで以上に高まるものと予想されます。特に住宅内の「音環境に関する性能」、すなわち、界壁や外壁開口部の遮音性能や床衝撃音の遮断性能に関しては、住宅購入者が購入前に最も知っておきたい性能の一つであり、今後ますます「性能」に関する明確な説明を求められると考えられます。
この点に関しては、これまでも簡易な装置やプログラムを使用した騒音再生システムにより、一定の水準で騒音の大きさを体感することは可能でした。しかし、「デモに使用できる音のソース数が不十分」「再現性を確保しにくい」「切り替えのレスポンスが遅く遮音性能の違いを比較しにくい」等の問題がありました。また、実際にデモンストレーションを行う場が実験室等の特殊な空間に限られていたため、普及には至りませんでした。
そこで、当社では、現在までに蓄積してきた騒音のソース(集録音)と遮音性能データとをデータベース化することにより、従来にはない情報量と精度で任意の「騒音」を再生し、遮音性能の違いを瞬時に比較試聴できるシステムを開発しました。同時に、デモンストレーションを行う場として遮音性能に優れた可搬型体感ルーム(約一坪)を開発し、同システムの運用を容易にいたしました。
このシステムは、住宅提供者や建築設計者が遮音性能や建築仕様を決定する際の現実的かつ明確な判断材料を提供できるだけでなく、住宅購入者に対しても、住宅購入前に「性能」に対する情報源として役立てられ、将来のクレーム発生防止に貢献すると考えています。


【騒音・遮音性能体感システムの概要】

本システムは、独自に開発したパソコン用プログラムにより、メモリーカードに構築された「騒音データベース」と市販のDSPユニット(デジタル信号処理装置)上に組み込まれた「遮音性能データベース」を制御することで、任意の騒音を再生するものです。デモンストレーションの元となる騒音は、全て当社研究所によって実測されたもので、システムは原音のレベルや周波数特性等を忠実に制御するとともに、建築の仕様に応じた任意の遮音性能をコンピュータシミュレーションによってリアルタイムで模擬することが可能です。
また、当社が開発した「高遮音内装システム」を用いた専用の可搬型体感ルーム(幅1.819 奥行2.170 高さ2.300)を使用することにより、顧客先やショールーム等においても、静かな環境の中で容易にプレゼンテーションを行うことができます。
デモンストレーションに用いる信号は、外部騒音(交通騒音、鉄道騒音等)、マンション等を想定した隣戸からの伝搬音(ピアノ等楽器音、話し声、オーディオの再生音等)、床衝撃音(跳びはね、スリッパ歩行、スプーンの落下音)等であり、任意に入れ替えが可能です。
また、住戸内の暗騒音も併せてデモンストレーションする機能を持ち、より実際の住環境(音環境)に近い音場を再現します。暗騒音レベルの変化に応じて、他の有害騒音に対する評価の違いを調査するような心理実験等にも応用できると考えています。



【システム概要】

12_01


【システムの特徴】

(1)遮音性能の違いを瞬時に聞き比べ可能
・ 市販のDSPユニットを使用し、遮音性能の違いを瞬時に切り替えることができる。
・ 音源の記録媒体としてメモリーカードを使用し、安定した音源の再生と素早い切り替えが可能。

(2)簡潔な操作で誰にでも使用可能なソフトウェア
本システムは、体験者自らがパソコンディスプレイ上に表示されたボタンを操作することによって行うことができ、デベロッパーのスタッフ、設計者、住宅購入予定者等、必要に応じて誰にでも簡単にデモンストレーションを行うことができます。

(3)独立した騒音源(ソース)データベースと遮音性能データベースによる
多様なコンビネーション

本システムは「騒音源データベース」と「遮音性能データベース」から成り、それぞれの組み合わせにより、任意の「騒音」をシミュレートすることができます。
遮音性能は、住宅性能表示制度への対応も考慮し、一般的な建築仕様の界壁、外壁開口部(各種サッシ他)等についてD-20〜85の範囲をカバーしています。また、「高遮音内装システム」の性能を体感できる設定も含めて、計100種類の遮音性能データを任意に入れ替えることが可能です。

(4)豊富な騒音ソースと再現音の信頼性
・ 騒音発生源は全て実際に録音されたものであり、その大きさや周波数特性などを忠実に再現することが可能(空気伝搬音:45〜100dB(A) 床衝撃音:LL-40〜70, LH-40〜55相当)。
・ デモの対象音には、環境騒音、建物内騒音、床衝撃音、固体伝搬等、日常生活で感じるほとんどの騒音が網羅されており、その他目的に応じて、住宅内の配管類や共用設備(エレベータなど)からの固体伝搬音など任意の騒音を追加することができる。

(5)日中から深夜まで時々刻々と変化する室内の暗騒音を独立再生
暗騒音を再生する機能によって、住戸内の静けさの度合いを変化させることが可能です。これにより、周囲の暗騒音レベルが高い日中と非常に静かになる深夜との騒音の聞こえ方の違いなどを再現でき、静けさに応じた騒音の聞こえ方の違いを体感できます。


(6)周囲の雑音に邪魔されない可搬型体感ルームの活用
・ 専用の可搬型デモルームを併用することにより顧客先でのプレゼンテーションが可能。
・ 周囲の雑音に邪魔されにくく正確なデモが可能。
・ 可搬型体感ルームの組立・解体は3人で可能。組立からシステムのセットアップまでに3時間、解体搬出に2時間。システム部材はワンボックス車輌1台に積載・運搬が可能。
・ 可搬型体感ルームは当社が開発した「高遮音内装システム」のデモンストレーションも兼ねている。
11_02


【今後の展開】

すでに本システムを社内の設計物件、施工物件に適用していますが、今後は設計事務所、デベロッパー、マンション管理会社等からの依頼にも対応し、システムの提供を行っていく予定です。また、「高遮音内装システム」の販売促進を兼ねて、マンションモデルルーム等において活用してまいります。



【本件に関する問い合わせ先】

 
東急建設株式会社
経営企画室広報担当 井上、下原
TEL.03-5466-5005
E-mail:webmaster@tokyu-cnst.co.jp

  obi