1.工事概要
本工事は、世界最悪と言われるバンコク市内の交通渋滞緩和対策として、タイ国内初の地下鉄を建設するものである。
この地下鉄はバンコク中心部に建設され、完成後は民間企業が管理・運営することになっている。プロジェクトの計画はかなり古くからあり、これまでに幾度も立ち消えになった経緯があるが、日本政府が地下鉄プロジェクトに円借款の供与を開始したため実現の運びとなったもの。1996年12月に着工し、2002年開通を目指して現在急ピッチで建設が進められている。
本工事は延長約21kmにも及ぶ地下鉄工事の一工区で、9カ所の開削(地中連続壁)駅と単線双設 7.5kmのシールドトンネルとが主要工事となるが、その他に橋梁架替えが2カ所、中間立坑が3カ所という超大型プロジェクトである。路線はタイ国鉄の起点である Hua Lamphong駅からもう一工区との境界となる Rama IX駅までの本線と、そこから操車場までの枝線となっている。
Si Lom駅はすべての駅の中で最も渋滞がひどく掘削深さも最大で、しかも既存高架道路をアンダーピニングするというように、技術的にも近隣への影響からも極めて難しい工事となる駅である。
2.工事数量
2.1 施工壁延長:374m (土留め壁平面寸法:156.4m×30.4m)
2.2 設計連壁深度:45.7m
2.3 掘削溝幅:1.2m
2.4 連壁面積:16,854u
2.5 鋼製連壁部材:GH900mm L=5.0m〜16.0m
2.6 鋼材重量(NS-BOX):7,500t
2.7 充填コンクリート:高流動コンクリート20,225m3
3.施工方法
鋼製連壁の施工は基本的にはRC連壁と同様であり、鉄筋かごの代わりに鋼製連壁部材(NS-BOX)を建て込み、充填コンクリートを打設して壁体を構築する工法である。
掘削機械はバケット式掘削機1台を使用し、平成10年9月下旬から施工が開始され、平成11年4月末頃迄に連壁工事を完了する予定。特に日本国内での施工とは異なり、エレメント間の継ぎ手を剛結ではなく止水板入りのせん断継ぎ手とした。この方法は、既に世界標準として海外ではRC連壁に一般に用いられているものである。また、従来は先行エレメントと後行エレメントの順番でしか施工できなかったのに対して片押しエレメントも可能で、しかもエレメント端部の鋼製連壁部材(GH-R、GH-H)も自由に選択できるようになった。この結果エレメント割付の自由度が増し、施工順序の変化に柔軟に対応できるようになった。これにより、施工を簡略化するとともに施工速度が格段に早くなり、一週間で4〜6エレメントを建設している。